「紙芝居師デビューはウズベキスタンで!」
山口 真緒
日本からウズベキスタンに渡航が決まってからやりたかったことの一つに、紙芝居がありました。「日本の紙芝居という文化はウズベキスタンの人たちにも、きっと面白いと感じてもらえるはず。」そんな思いを心に秘めてウズベキスタンに渡航。そして、遂にそれを実行する日がやってきました。
11月22日、首都タシュケントにあるウズベキスタン日本文化センター(以下、UJC)にて、紙芝居をさせていただけることになりました。1週間前からSNS等で広報をしていただき、迎えた当日。「日本語の紙芝居だし、お客さんは、来てもせいぜい10人くらいかな〜」何て、心の中で想像しながら、会場へ。そこで目にしたのは、椅子が足りなくて、立って待ってくれている人たち。。皆さん、紙芝居を聞くのは初めてで、日本語を学んでいる学生さん、そのお友だち、日本語が話せる小学生たちとその家族、日本文化に興味のある大人の人たちなど、年齢は皆バラバラ。
まずは、紙芝居に慣れ親しんでもらおうと、間違い探しクイズ!「一瞬しか見せないから目を瞑らずによ〜く見ててね!難しいよ〜」なんて言いながら始めたので、皆さん元は構えていましたが、途中からクイズの面白さにハマったようで、口々に間違いを指摘してくれました。(本来は、正解した人にご褒美を渡すのですが、今回は大きな拍手を渡しました!)
会場が温まったところで、まずはウズベキスタンの昔話「コウノトリの贈り物」。日本の図書館で見つけて、「日本にあるくらいだから、きっとウズベキスタンではとても有名なお話しなんだろう。」と思って、「知っている人〜」と聞いたところ、し〜ん。一番前に座っていた女の子の手だけが挙がっていました。意外とみんな昔話とか聞いてこなかったのかな〜なんて思いながら、お話を始めました。馴染みのある生き物や登場人物の様子に、惹き込まれていく皆さんの視線を感じました。
その後、「桃太郎」、「さるとかに」のお話を登場人物になりきって、演じました。ウズベキスタンの人たちの反応を見ていると、桃太郎が桃から生まれた瞬間と、さるが牛の糞に滑って転んで上から石臼が落ちきてぺっちゃんこになってしまった瞬間、観客がわっと盛り上がりました。感想では、「声色を変えて劇のように紙芝居をしていたのがとても良かった」、「クイズがとても面白かった」、「初めて紙芝居を聞いて、もっと聞いてみたいと思った」など、とても温かいメッセージをいただきました。
解散後に、トルクメニスタンに留学していた学生さんが私の元に来て、「トルクメニスタンの伝承『Gorogly』を読んでほしい」と、本を紹介してくれました。初めて聞くお話に私も興味津々でインターネットで調べてみました。伝承や昔話などが口頭や絵本などで、世代を超えて伝えられているということがとても微笑ましく、価値を感じました。
初めての人前での紙芝居。もっとこうすれば良かったと後から後悔した場面もありましたが、みんなが笑顔で「Спасибо(スパシーボ:ロシア語でありがとう)」と言って、帰っていく後ろ姿を見ながら、次の紙芝居のステージのことを頭で考えていました。これを機に、ウズベク語での紙芝居ができたら、もっとたくさんの人たちに紙芝居を知って、楽しんでもらえるのではと、思いました。
今回の貴重な経験ができたのも、遠くから温かいサポートをいただいているNPO法人SAKURA社の皆様のおかげです。これからも、紙芝居師として研鑽を積みつつ、紙芝居を通して日本とウズベキスタンの架け橋になれるよう、積極的に活動を広げていこうと思います。これからも、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。